4人の人類学者をあげている

人類学とは何か (SEKAISHISO SEMINAR)

人類学とは何か (SEKAISHISO SEMINAR)

 エリクセンノルウェー出身で、大学院以降はイギリスで社会人類学の教育を受けた人類学者である。もともとカリブ海地域のエスニシティの研究をしていて、グローバライゼーションの問題等にも精通している。

 訳本、入門書としてはわりとクオリティが高いし、そこそこ勉強した後でも、いろいろ思い出すのに良い本だと思う。

 入門書なのだが、良い意味でまとまりがなくて、読んでいると、わりと、教養になる。

 初めの方、

 近代人類学の創始者4人の名前をあげている。 

 文化相対主義のボアツ、進化主義と伝搬主義を否定した功績はでかい。
 機能構造主義ラドクリフ=ブラウン まあこちらはウェーバーの社会システム論の影響をもろに受けている。しかし、社会や集団の中の関係、文化の総体が有機的に関連しているという、社会人類学が研究対象にするものを確立したと言えるだろう。

 参与観察のマリノフスキー、これは山口昌男さんの本を読んでほしい。

 最後になんと交換、互酬のマルセル・モースである。ディルケームの甥である話はあまりにも有名だけど、関係があるから交換をするのではなく、交換そのものが関係を作り出す、そして、それが市場である。のちに、贈与論で、市場を廃止した、レーニンを批判したのも有名な話である。

 ぼくは商売人の息子だから、やっぱモースかな。

 それは半分冗談だけど、交換が関係を作り、それがネットワークとなったその拠点や、調整弁としての市場がある。市場を廃止すると交流や交換そのものが破たんしてしまう。かといって、市場が暴走すれば、いまのバブルである。100年近く前から、市場のコントロールを唱えたなんて、なかなかである。

 モースが入っているところがしぶい!